令和5年度は、「七夕」「浴衣」という題で1人2句までの応募といたしましたが、72人の方から143句の作品が集まりました。応募された作品については、川柳宮城野社主幹、宮城県川柳連盟理事長、雫石隆子先生に依頼し入選作品選びと講評をしていただきました。
会員の皆様には、今後も日々の生活の中で川柳を楽しんでいただければ幸いです。
雫石隆子先生から
七夕と浴衣の作品を楽しく拝見いたしました。コロナ明けの解放感、伝統行事と浴衣姿への想いが五七五に溢れておりました。ご健吟を祈ります。
入選作品の紹介
課題「浴衣」
【入賞】
ビキニから浴衣が似合う年となり | 泉区 | 坂爪 卓 |
ふっとばす今年の夏を浴衣きて | 太白区 | 沼田 敏子 |
大輪の夜空見上げる浴衣連れ | 泉区 | 庄司 芳次 |
孫達の崩れた浴衣笑みこぼれ | 太白区 | 阿部 眞一 |
浴衣着て七夕散歩若返り | 泉区 | 鈴木 健治 |
【秀逸】
盆おどり浴衣すがたに母想う | 若林区 | 片岡 悦子 |
初浴衣いじわる風に裾乱し | 青葉区 | 岩井 邦夫 |
糊こわき浴衣の匂い夏となり | 泉区 | 原田 昭穂 |
【特選】
美人画の浴衣のうなじ風過ぎて | 泉区 | 吉田 弓子 |
〈評〉ふっくらとした浴衣姿の美人画。下五の措辞が、その画から感じ得たものでしょう。他とは違うオリジナリティが光ります。
老人会浴衣の帯もゆるやかに | 若林区 | 飯村 重子 |
〈評〉老人会の楽しさを作品が示しています。帯をゆるやかに結び、お仲間との時間を過ごす、夏の日の素敵な一日が見えます。
課題「七夕」
【入賞】
笹飾り星に手合わす小さき子 | 太白区 | 匿名子 |
かいしょなし年に一度の逢瀬とは | 太白区 | 佐藤 実 |
手造で想いを込めた七夕を | 太白区 | 原谷 毅 |
コロナ明け七夕祭り出掛けたい | 泉区 | 小澤 慶子 |
サワサワとはるか幼日星まつり | 泉区 | 吉田 弓子 |
【秀逸】
七夕は愛別離苦の裏舞台 | 太白区 | 山口 眞喜男 |
七夕や今日見る幸を良しとする | 宮城野区 | 佐山 きよ子 |
織姫を泣かすな列島水浸し | 泉区 | 佐藤 十八 |
【特選】
吹き流し八波の波が見えかくれ | 泉区 | 村井 重子 |
〈評〉新コロナも5類になり、制約から解放されて行事や集まりも増えたのですが、人出と感染数は比例です。中七の措辞が良いですね。
熱帯夜天の川にて泳ぐ夢 | 泉区 | 浦島 巖 |
〈評〉九月に入っても猛暑日で、今年は記録的な暑さです。天の川を泳ぐ、と言う句がらが大きく、まさに令和五年夏の秀句です。